Present for me?

 Happy Birthday、我らが宗一兄さ~~~ん+゚。*(*´∀`*)*。゚+!
 クール&ビューティー(たまに大魔王)な兄さんはいくつになってもステキです。
 今年も無事にお祝いできてよかったです♪


 ということで、今回のお話は兄さんのお誕生日の話――なのかしらコレは((((;゚Д゚)))))))
 ここでお断りをさせていただきますが、今回のお話に兄さんはちょろっとしか出てきません。99%、森永君が変態なお話です。変態は変態でも真正の変態かもしれません。ど変態です。ですので、森永君スキーのお姉さま方にはかなり申し訳ない内容になっておりまして……。「blueめ、この目出度い日になんでそんな話をぶつけた!!」とお怒りがあるのはごもっともなのですが、”8月2日”ならではのお話だと思いますので、どうぞご容赦ください(>_<)


 ではでは、よろしくお願いいたします。
 






「森永~、何見てんの?」
「わっ!」

 突然背後から山口が顔を出してきたので手元が狂い、たまたま表示されていた商品をカートに入れてしまった。
「びっくりさせるなよ」
「悪い悪い……ていうかお前、公共の場でなんてページ見てんだ。森永ってパンツはネットで買う派なの?手触りとかわかんなくね?」
「もちろん時間があれば店に行くけどさ。やっぱりネットは便利だし。それに今買い物に行く時間がなくてさぁ」
「あー、何か付きっきりで観察しないといけないのがあるんだっけ」
「そうそう。どうしても来週中には結果出したいから気が抜けなくって」
 そう話しながら、タッチパッドを操作して誤ってカートに入れた商品を削除する。このデザインは俺の好みじゃない。色も、ちょっと。

(まぁ確かに山口のいうとおり、公の場所で閲覧するには少々まずいページだったか)

 ここはちょっとしたラウンジスペースとなっていて、普段は講義や実験に疲れた学生たちの憩いの場となっている。今は夏休み期間中なので閑散としているが、平時はそこそこ人の出入がある場所だ。疾しい気持ちは一切なかったものの、こんなオープンスペースで見るサイトじゃなかったかもしれない。

 何か欲しいものでもあったのか、山口はそのまま画面を覗き込んでいる。
「もしかして山口が欲しいのがあった?一緒に頼む?」
「いや、この前うちのゼミで暑気払いコンパがあったって話ししただろ?そのときビンゴゲームがあったんだけど、その時の景品にすげぇパンツがあって」
「すげぇパンツ」
「そ。もちろん男物だからな。そのパンツが当たったのが大山でさぁ。青い顔して『これどうやって穿くんだよ!?』って大慌てだった」
「いや、そこはフツーに足を通せばいいんじゃないの?一体デザインだったんだよ」
「それがさぁ……このサイトにないのかなぁ……」
 背後から山口が手を伸ばし、タッチパッドに指を置いてサイトの中をあちこち移動する。一体どんなパンツだったのか知らないけれど、ここのサイトはまっとうな品物しか扱っていないハズだ。一体どんなパンツを景品にしたんだか。
「なぁ、ちょっとサイト移動していい?」
「いいけど、それ研究室のノートだからね。あまり変なとこにアクセスしないように」
「わーってる」
 まぁ休憩に託けて、研究室のパソコンで私的な買い物をしていたのは俺だけれども。本当のことをいうと、目的はパンツを買うことではなくて、ちょっと検索したいものが――
「あった!コレコレ!」
 耳元で大声を出すな!
「山口、声でかい。で、どれだよ……わっ」
「な?すげぇだろ?」

 いやいやいやいやいやすげぇってもんじゃないでしょコレは。

 画面に表示されている下半身のトルソーは、前はよくあるボクサーパンツのスタイルながらも後ろが大変なことになっている。
具体的にいうと。


 トルソーの形のいい真っ白な臀部が見事に露わになっている。


「……誰がこんなの見つけてきたんだよ」
「幹事の四回生だったかな?ネットで見つけたって言ってやがった。珍しいからっていってたけど、こんなパンツをゼミコンの景品に選ぶかねぇ」
 山口の声が苦笑い混じりなのも当然だ。ゼミのコンパということは教授陣も参加していたのだろう。山口のところはそこまで厳格なゼミではないが、それでも皆ギョッとしたのは間違いないと思う。
「つーかコレ、まさに頭を隠して尻隠さずっていうか」
 山口のいうとおり、画面のパンツは前はともかく後ろに布地が全くない。穿くものなので勿論足ぐり部分はあるけれど、そんな細いゴムなんて穿いてしまえば尻と太腿の境界線に挟まれて殆ど見えなくなるに違いない。
「これ、何のためのパンツなんだ?」
「ん……まぁ大事なトコロは隠しているし……これだけ後ろが丸出しなんだから涼しいんじゃないの」
「あぁナルホド……ってそれだけかよ」
 いや、それだけではないと思う。事実、俺はこのパンツを見た瞬間、穿かせたい人及び別な使い道を妄想しました。いやもうそれはガッツリと。しょうがないでしょ、健全な成人男性だもの。しかも大好きな人といつも一緒にいるのだから、俺はエブリタイム臨戦態勢ですとも。しかしそんなことを山口に言えるはずもなく。
「充分だろ」
「そうだけど……お、森永、ちょっとコレ見てみろよ。さっきのよりスゴイぞ」
 そう言って山口がクリックしたのは、前は辛うじて大事な部分を覆うのみ、後ろはいわゆるTバックになっているタイプ。あぁ、こういうのも似合うだろうなぁ。
「へぇ、山口さんはこういうのがご趣味で」
「違うわ!俺がこんなの穿いたら公害だろうが!」
「あぁ……」
「“あぁ”じゃねーよ、これだからイイ身体してるイケメンは!」


 いやいや、こういうのは俺なんかよりあの人の方が似合うわけで。あの無駄な部分のない引き締まった身体にこそ、こういう華奢なつくりのパンツは似合うと思う。それに大事な部分が申し訳なさ程度に隠されているなんて、全裸よりも確実にエロい。あの人がその事に気付いて恥らう様子なんて見せられた日には、自分の理性が神速で崩壊する自信がある。


 俺がこんな不埒な妄想をしているなんて思いもしない山口は、目に留まったものから次々に拡大していく。
「お、なんかすっごいカラフルなブリーフがあるぞ。今時はこんなお洒落なブリーフがあるんだな」
「なんかカジュアルだね。高校生とか若いコが穿いてそうじゃない?」


 こういうのは違うんだよなぁ。カラフルでお洒落なものより、潔く白いブリーフの方がエロいでしょ。白ブリ姿かつ涙目で睨まれたら……いかん、想像するだけで下半身に熱が籠る。


「これって褌?へぇ、今時の褌は随分お洒落なんだなぁ。褌って確か身体にいいんじゃなかったっけ。昔の人の知恵的な」
「俺もそれ聞いたことある。熱が籠らないんだよね、確か」


 そう、健康にはもちろん、あっち方面でもいいかもしれない。褌の日は風呂上りに浴衣を着てもらって、合わせ目から手を差し入れて悪戯したい。乱れた浴衣の下の褌も、浴衣同様少し緩んでいて……うん、これはそそるシチュエーションじゃないか。


「これって競パンじゃないの?いや、普段使い用か……それにしても布の面積が小さすぎないか?森永のだったら絶対納まんないだろ」
「いやいやいやいや俺どんだけデカいんですか」


 あぁ、こういうピッチピチなのもたまにはいいかもしれない。穿いたままで育ててあげたら、標準サイズなあの人のモノもぴょこりと顔を出してくれるのでは。そんなの、視覚的にヤバいに決まっている。

 その飛び出てきた部分だけを舌で舐ってあげれば、もとよりソコへの刺激に弱いあの人のことだ、きっとすぐに艶めいた声を聞かせてくれるに違いない。そんな声色で“死ね”だの“殺ス”だの言われても俺にとってはただの興奮材料にしかならないのに、いつまでたってもあの人はそのことに気が付かない。さらに、先端の穴を舌先で広げるように刺激を加えたら、たまらずあの人のしなやかな背中が弓なりにしなるはず。その行為を止めさせようとする手が、無意識に俺の頭を股間に押さえつけている事実すら気付かずに。


「おい、どうした?腹でも痛いのか?何かキツそうな顔してるぞ」
「え、え?いや、何でもないよ。ダイジョーブ」
 大好きな人の痴態を想像して下半身が荒ぶりそうになってます、だなんて、いくら親友の山口にだって知られるわけにはいかない。
「そうか?ならいいけど……しかしこういうパンツもきっと需要があるんだろうな。人の好みもそれぞれだもんなぁ」
「……そうだな」
 人の好みは色々、用途もイロイロ。
「あ、もしかしたらプレゼントとかにいいのかもな。褌とか、身体にいいのはわかっていても、自分で買うのは勇気がいるし」



 プレゼント、だと……?



 そのとき俺の頭の中で稲妻が走った。



 先程とは違う意味で震えている俺の横で、山口が気持ちよさそうに欠伸を一つした。
「あふ……そうだった、俺、眠気覚ましのコーヒー買いに来たんだ。最近気に入っているのがここの自販機にしかなくてさぁ……お前はまだここにいるの?」
「あー、うん、俺は次の交代まであと15分ぐらい残っているから。もうちょいのんびりしとく」
 ひらひらを手を振って離れていく山口を笑顔で見送り、再び一人となったラウンジでパソコンに向き合う。
 そもそも休憩時間にここでパソコンを覗いているのには理由がある。パンツのサイトを見ていたのは偶々で、愛しい人に贈る誕生日プレゼントの下調べが本来の目的だった。研究室だと本人に覗かれる危険があるし、一緒に住んでいる自宅だって同じこと。なのでわざわざ「休憩中にレポート書きたいんで」と理由をつけてノートを持ち出し(美春さんたちから「それって休憩じゃないですよ」と心配されたのは心苦しかった)、実験室から少し離れたこの場所にやってきたのだ。おかげさまで一応目星いモノは見つけたものの、何か一つ特別感にかけるなぁと思っていたところの山口発言だ。

(パンツ、ねぇ……)

 履歴から先ほど閲覧していたページに戻る。初めて見るサイトだが、なるほどこれは興味深いパンツをたくさん取り扱っているようだ。山口が覗かなかったページでも、それはまあ使い勝手が謎なパンツが数多く揃っていた。

(つーかこのサイト、絶対ソッチのお客さんが多いよね……)

 普通の店であれば絶対お目にかかれないそれらを眺め、思わず苦笑いを零してしまう。山口のとこの四回生は一体どうやって景品のパンツを仕入れたのか。こんなの普通に探してたって無理だろ。もしかしてお仲間なのだろうか。だとしたら、絶対にあの人と接触することがないよう注意しなければ……って、しまった、山口に名前を聞くべきだったな。そして要注意人物リストにその名を載せて――





「おいお前、こんなとこまで休憩に来てんのかよ」





 この場で聞こえるはずのないその声に、思わず椅子の上で飛び上がってしまった。


「い゛でっ!」
「何してんだアホか」
 近づいてくる気配に慌ててノートを物理的に閉じたところ、勢い余って指先を挟んでしまった。
「い゛だっ!」
「本当にアホなのかお前は」
 心の底から呆れたような声を上げているのは間違うことなく愛しいあの人だ。大きく首を捻れば――やっぱり。あの人が少し離れた場所に立っていた。
「~まさかテメェ、何か疚しいサイトでも見てたんじゃねぇだろうなぁ?それ研究室のノートだろうが」
「いえいえいえ滅相もございませんっ!実験のデータ見てたんで、それで慌てて閉じちゃいました!」
 ハイ見てましたテヘペロ☆、だなんて言えるはずがない。そんなのばれたら間違いなくここで人生が終わる。
 良い子のフリをして小首を傾げると、苦々しげに舌打ちをされた。
「先輩はどうしてここに?」
「教授に呼ばれたから通りがかっただけだ。もうすぐ午前中の結果が出るから、テキトーに切り上げて戻れ」
 言い終えるや否や踵を返すあの人に、「はぁい」と形ばかりの良い返事をする。そして規則正しい足音が聞こえなくなってからたっぷり十秒を数えたのち、再びノートをパカリと開く。

(うわぁ、ホント際どいのばっかり売ってるなココ)

 次々に画面に表示される夢とロマンが詰まったパンツを眺めながら、俺はこの場でこのサイトを開いたことを後悔した。それはもう激しく。だって脳内ではあの人が試着係なのだ、こんなの興奮しない方がおかしいだろう。


(うわ、これ似合いそう!でも色のバリエーションが少ないな)

(あーこれもいい!素材は……うーん、先輩苦手そう)

(え、これってどうやって納めるの?!こんなん穿かれたら俺の死因=鼻血による出血多量死になっちゃう!)

(ひえぇぇえ!ちょっ、目のやり場に困るぅ!)



 そんなことを延々としていたらぐったり疲れてしまうのは当然のことで。



 おかげで実験室に戻れば美春さんから「休憩中ずっとレポートしてたんですか?全然疲れが取れてないじゃないですか」と心配され、生協まで栄養ドリンクを買いに走ろうとする田所君を引き止める羽目になったのも、当然のことだった。






 *

 そんなドタバタなから数日経った今日は、あの人の生誕祭当日。平日なので凝った料理は出せなかったが、その分彼の好物ばかりを夕飯に並べた。大喜びで全部平らげてくれて嬉しかったなぁ。夕飯に合わせたのは帰りに寄ったコンビニで調達した夏限定のビールだったが、あの人が風呂から上がればシンクで氷水に浸かっている大吟醸が待っている。「何も特別なことはせんでいい」と言われていたものの、大好きな人の誕生日なのだから料理以外にも特別なことをしたいに決まっているではないか。この日のためにお取り寄せした大吟醸は、以前教授のお供で行った小料理屋であの人が絶賛していた銘柄だ。きっと喜んでくれるはず。

 こっちも喜んでくれるだろうか。

 ガラステーブルに置かれているのは、光沢のあるワインレッドのリボンがかけられた黒に近い濃紺の小箱。中に入っているのは上質な革でできたキーケースだ。自宅の鍵や松田家の鍵、実験室の鍵から各種キャビネの鍵まで持ち歩くのだから、あの人のキーリングはいつも大変なことになっている。リングじゃなくてキーケースなら、少しはそういった煩わしさが減る……と、あの下調べをしたときに見つけたサイトにそう書いてあった。こういう実用的なモノの方があの人は喜んでくれるだろうと踏んで(それに毎日使ってもらえるし)、彼へのプレゼントはこれにしたのだけれど。
 
 今度はラグの上に置かれているベージュの紙袋に目をやる。
 柔らかい不織布のそれは袋全体をゴールドのリボンが一巡して結んでいるだけのシンプルな装丁で、持った時の袋の手触りからして中に収められているのは柔らかくて軽いモノだということがわかる。


 まぁ確かに柔らかくて軽いモノが入ってはいるのだけれど。


 それがラッピングの清純さを見事なまでに裏切ったモノだなんて、一体誰が想像するだろうか。
 

 いや、一応これも実用的なモノなのだ。その気になれば日常的にも使ってもらえるし、素材も身体に優しいものを使用していた。色だってあの人好みのものを選んだし、made in Japanらしいし。それにホラ、きっとこのパターンはあの人の細く引き締まった身体に似合うと思うのだ。それこそ、白い下半身のトルソー以上に。

 あぁ、ぜひその姿を一度でいいから俺に見せてくれなかな。
 できることならこれを穿いたあの人にアンナコトやコンナコトをしたいけれど、そんな贅沢は言わない。いや、させてもらえるのであれば涙を流して喜ぶと思うけれど。




 そこまで考えて、漸く気付いた。

 もしかするとコレは、あの人へのプレゼントっているより自分へのプレゼントになるのでは?
 あれ、誰の誕生日だったっけ?




 ふと思い当った疑問に瞳を瞬かせていると、廊下の方からドアが閉まる音がした。あの人が風呂から上がったらしい。
 色んな意味で、僅かに脈が速くなる。きっと大吟醸は喜んでくれるに違いない。キーケースだって毎日使ってくれると思う。しかしコレは――いや、すんなり受け取ってくれるはずがないことは購入ボタンをポチッた時点で覚悟している。それでもカートに入れた理由は何だ。これを穿いた愛しい人の姿が見たいからじゃなかったのか!勇気を出すんだ哲博!




 リビングに続くドアノブがカチャリと回った。


 思わず引き寄せた不織布の袋が、カサリと軽い音を立てる。





「あの、先輩っ」










 ――愛しくて堪らないあの人が、滅多に見せてくれない笑みを浮かべてくれた後に荒ぶった鬼神となるまで、あと一分。












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