森の中の白と黒〜恋する暴君クリスマスパーティ!2016〜

 メリ〜クリスマス(イブ)!!+゚。*(*´∀`*)*。゚+

 今日は特別バージョンでございます。

 この度、ミナト様をはじめとする素敵暴君ブロガーの皆様と一緒に、スペシャルな企画に参加させて頂きました!
 まだブログを開設して1年未満のヒヨっ子のくせにこんな華やかな場に加えてもらっていいものかと、リアルに尻尾を内股に挟んでガクブルしております…がしかし相当楽しみにしてたんですけどね\(^o^)/!!←隠しきれない本音


 ではでは早速、「ケモミミ」のお題のもと、皆様からクリスマスプレゼントです♪
 こちらからどうぞー!


 ということで、今回のお話はケモミミになります。
 当方ケモミミのお話を書くのは初めてなのですが、出来上がりを読んでみると「あれ、もしかしてこれってケモミミのジャンルじゃない?」という不安が。。私の中ではこれが精一杯のケモミミでございます。皆様、どうぞお手柔らかに…|ω・`)また、少しでもほっこりとしていただければ幸いです。


 ではでは、素敵なクリスマスをお過ごしくださいませ.゚+.(・∀・)゚+.!!







「テツヒロ君、これ持っていってよ!」
「え、そんないいですよ、売り物じゃないですか」
 気のいい肉屋の店主が店頭に並んでいた売り物を手渡してきた。遠慮するも「まぁまぁ」と押し付けられる。
「テツヒロ君には本当に感謝してるんだよ。だって一角獣なんて美味いのはわかっていても凶暴すぎて仕留められるハンターが滅多にいないし。店に並べた途端、飛ぶように売れるんだから」
 やっぱり凄腕のハンターは違うねぇ、としみじみと感心され、気恥ずかしくなってフードを目深に被った。そんな俺を見て、店主の丸っこい耳がピピピと揺れる。
「まだフードを外すのは抵抗がある?」
「んー、こっちでは珍しいみたいだし……周りを驚かせたくないです」
「それはそうだけど……勿体無いな、こんなにカッコイイのに」
 店主の口振りが本当に残念そうで、おもわず苦笑してしまった。お愛想程度に尻尾を一振りすると、
「もう、信じてないでしょ。試しにフードをとってその辺歩いてご覧よ。すぐ後ろに行列ができるから」
「それは歩きづらいから勘弁かなぁ」
 そりゃそうだ、と二人で笑い合い、店を後にする。
 森で仕留めた獲物を持ち込む肉屋は2軒あるが、大型の獲物はクマの店主が営むこの店に持ち込むことが多い。もう一つの店は店主が小柄なネコなので、大物を持ち込んだところで扱いに困らせてしまうだろうから。
 しかしまた大量に貰ってしまった。俺とソウイチさんだけじゃ新鮮なうちに食べきれないかもしれない。
 次の訪問先でお裾分けをさせてもらおう。




 町の中心から少しだけ離れた場所に次の目的地はあった。小ぢんまりとした、でもどこか暖かい雰囲気のある店内に入ると、カウンターの中にいた人影がこちらを向いた。
「いらっしゃ――あっ、テツヒロさん!」
 嬉しそうに一人のウサギの少女がカウンターを飛び出してきた。黒髪の間から伸びる長い耳も嬉しそうに揺れている。
「カナコちゃん、こんにちは」
「こんにちは!もうお肉屋さん行ってきたの?」
 店内を見渡し、人影がないのを確認してからフードを外した。窮屈なところに閉じ込められていた耳がピンと立ち上がる。
「うん、行ってきた。あ、これ、お肉屋さんから貰ったんだけど半分こしない?」
「わぁ!嬉しい、ありがとう!マツダさんも喜ぶと思う。何作ってもらおうかな」
 ニコニコと笑顔のカナコちゃんを見ていると、こちらまで笑顔になってしまう。種類は違えど血の繋がった兄妹のはずなのに、どうしてこうもソウイチさんと違うのだろうか。
「ねぇ、まだフードは外さないの?」
「それ、さっき店長さんにも言われたよ。まぁ、いつかね」
 先程と同じような苦笑を浮かべた時、店の奥から男の声がした。
「俺もそう思うなぁ〜。もう外してもいいんじゃない?」
 居るのは匂いでわかっていた。知らない仲ではないのでカウントしていなかっただけだ。
「ねぇ、やっぱりテツヒロ君、うちに来なよ。その見た目で騎士団の制服を着たら最高に似合うと思うんだけど。腕だって立つし。今日肉屋に卸したのって一角獣なんだろ?すごいねー」
「運良く仕留められただけですよ。俺だって毎回うまくいくわけじゃない」
「それでも一人でアレを狩れるのは凄いことだよ」
 軽い口調でそう話すのは一人のキツネの獣人だった。この国の子供達の憧れの職業である騎士団の制服を身につけている。
「どう?上には俺が推薦するけど」
「結構です。今の生活が気に入ってるんで」
 キツネの獣人――タイチロウさんと会話を続けながら、背負っていた袋から幾つか小瓶や袋を取り出す。それらはソウイチさんが調剤した薬の類で、カナコちゃんがこのお店で売っている。
託されたものを全てカナコちゃんに手渡し、改めてタイチロウさんに向き直った。
「しかしなんでココにいるんです。ソウイチさんへの言付けなら手紙でもいいし、あなただって暇じゃないでしょ」
「んー、確かにそうなんだけど。テツヒロ君を直にスカウトしたかったから?」
 反射的に顔を顰めた俺を見て、カナコちゃんが楽しそうに「二人とも仲良しなんだからー」とズレた感想を述べ、店の奥に薬品を運んでいく。その背中を見送ると、タイチロウさんがそれまでとは一変して真面目な顔になった。
「ソウイチ君は元気?」
「今朝も早くから研究室に引きこもってますよ。絶好調です」
「暫く周りに気を付けていてほしいんだ」 
 スッと自分の目が細くなるのがわかった。まるで狩りの時のような顔になっていると思う。
「例の男が、ここ最近ソウイチ君の研究データから個人情報までを漁っているらしい」
 ああ、あいつか。俺はその時はまだここにはいなかったけど、ソウイチさんと暮らすようになってタイチロウさんから詳細を聞いている。
 同時に『身辺に気をつけてやってほしい』とも言われたが、そんなの言われなくても俺の意思でやる。
「バカなことはしないと思うけど、もし何かやらかしたら対応は任せる。これは所長からの伝言だ」
 数回、軽く頷く。

「対応の限度は」
「それも任せる」


 
 
  *

 
 そんなやりとりがあって四日後だった。
 新月の真夜中、来るならこの日だろうと思っていた。


 暗闇に紛れて、濃さの違う闇が混ざり込んでいる。その異質な闇に気付かないほど俺は耄碌していないし、平和ボケもしていない。迷うことなく研究室の窓の下に忍び寄ったところをみると、俺のいないときに下見をしていたのだろう。俺がいれば、余所者が近付けば匂いでわかる。
 何やら窓枠の下でゴソゴソしだしたので、面倒なことになる前に仕留めておくことにする。音もなく屋根から飛び降り、素早く不審者の首筋に剣を当てた。

「――何をしている」

 声にならない、例えるなら喉の奥で空気が漏れるような音がした。驚きのあまりにカッと見開いた目は、眦が切れそうなほど見開かれている。
 この男の話は聞いていたが、実際に姿を見るのは初めてだ。なんて貧相なコヨーテだろう。コイツが、ソウイチさんを。
「く、黒狼……?!何でこんなところに!」
「それはこっちの台詞だ。ここで何をしている」
 剣を押し当てる力を強めた。少しでも角度を変えて刃を立てれば、一気にカタがつくのだが。対応は任されていることだし。
 俺が殺気を隠さないでいるので、コヨーテの男はガタガタ震えている。これしきで怖気付くなんてとも思うが、殺気だった狼と対峙しているのだから正しい反応なのかもしれない。
「ここで何をしていると聞いている。三度目はないぞ」
 チャキッと刃を鳴らせば、男は堰を切ったように喋り出した。
「ソ、ソウイチに会いにきたんだ!それだけだ!」
「こんな夜更けに?」
「私は研究者だ!昼も夜も関係ない!」
 うっわ、何言ってるのこの人。確かにソウイチさんも昼夜問わず研究をする人だけど、そんなことで胸を張られても。
「会ってどうするつもり」
「会って、会って――」
 その時、目の端に白く輝く何かが入った。同時に、俺にとって形容しがたいほどの甘く柔らかい匂いが香る。


「誰だ」


 白く輝くのは束ねた髪が白銀だから。同種よりも太くて立派な尻尾も同じ色をしていて、月明かりがなくとも彼自身が発光しているように見える。なんて――なんて神秘的なユキヒョウなのだろう。彼の美しさは暗闇こそ映えるのかもしれない。

「テツヒロと……誰だ?」
「ソ、ソウイチ!私だ、ミヨシだ!」
 剣を首元に当てられているのも忘れたのか、ぐいとコヨーテが身を乗り出してきた。ソウイチさん目の前で血生臭いことはしたくないので刃は寝かせたままにしているが、更に力を込めて剣の存在を思い出させてやる。
「げっ!なんでてめぇがここにいるんだよ!」
「もちろん君に会いに来たんだ!さぁ、その顔を見せておくれ!」
 んなことさせるか!ソウイチさんの姿が目に入らないようにミヨシの前に立ちはだかる。
「ソウイチ、君は私の全てだ!君の研究はもちろん姿も全てが愛おしい!お願いだから私の番になってほしい!」
 そういって先程ごそごそさせていたもの――バラの花束を突き出してきた。

 ミヨシがソウイチさんに声をかけられたのはそこまでだった。その後は俺が思い切り鳩尾を突いて、意識を沈めてやったから。
 

 研究のためと嘯き散々ソウイチさんに纏わりついた挙句、この男はソウイチさんを無理やり襲った(未遂)。すぐさま処分の運びとなったが、研究所での人間関係にほとほと嫌気がさしたソウイチさんは、自らが研究所を出て森の中に籠ることを選んだ。ソウイチさんを高く買っていた所長は、離れていても共同の研究を続けることを条件に、自分が責任をもってミヨシを監視することを約束したという。
 それもまぁ今回までだ。所長の逆鱗に触れたであろうミヨシが、このまま研究所に在籍できるとは思わない。俺が剣をふるわなくとも、この男がソウイチさんの前に現れることは二度とないだろう。



 町の入口にある騎士団の詰所にミヨシを放り投げ(タイチロウさんから話を通してあったのでスムーズだった)帰宅すると、ソウイチさんはまだ起きていた。
「眠れない?」
「アイツの顔みたら嫌なこと思い出して眠れねぇ」
 獣人族は異性同性関係なく番えるが、ソウイチさんは研究一筋で色恋なんかに一切興味がないらしい。自身はこんなに美しいユキヒョウなのに。だからミヨシみたいな道を踏み外す輩が出てくるのだけど。
 イライラと煙草を吸うソウイチさんの前に、湯気の立つマグを差し出した。
「なんだこれ」
「安眠できるように、おまじないをかけたミルクです」
 湯気で眼鏡を曇らせながら、訝しげに一口。
「……蒸留酒入りか」
「ほんのちょっとだけ」
 頬杖をつきつつ、目の前の美しいユキヒョウを眺める。

 2カ月前、森の中で高熱を出して倒れていた俺を看病してくれた人。
 
 明らかにヨソ者である俺を、「家事一切を引き受けること」を条件に家に置いてくれる優しい人。
 
 たまに俺を治験者代わりにして怪しげな薬を飲ませてデータをとるマッドサイエンティストな人。
 

 こっちでは珍しい黒狼の自分を、
「お前、なんかキレイだな」
 と褒めてくれた人。




 俺が一目で恋に落ちた人。




「こっち見んな気持ち悪りぃ」
 こんな暴言でさえ喜んでしまう俺って、ちょっとおかしいのかも。
「そういやタイチロウがお前を騎士団に欲しいっていってたぞ」
「またですか。凝りませんね、あの人」
「そりゃ黒狼が騎士団にいたら士気も上がるし箔も出るだろうよ」
「俺はソウイチさんの側にいたいんで」
「よし、死ね」
 眼鏡の奥の青瞳(ブルーアイズ)が冷たく光る。やばい、睨まれているのに幸せを感じてしまう。我ながらこれはもう重症だ。




 2ヵ月前に拾った黒くてデカい犬は、想像以上に出来物の男だった。面倒な奴に付きまとわれていたので番犬代わりになればと思っていただけなのに。こっちの土地では珍しい黒狼なのだから町に行けばそれこそ引く手数多だろう、何を好んで未だこんなところにいるんだか。
 ふと目の前の駄犬をみると、だらしない笑顔でこっちを見ていた。他の狼には感じたことはないが、コイツの金色の瞳は驚くほど暖かい。フサフサした黒い尻尾は、俺と一緒にいるときはほぼ例外なく柔らかく揺れている。そして普段はピンと立っている耳はペタンと伏せられていて。


 言わずとも感情がだだ漏れなんだよ馬鹿やろうが。


「ソウイチさん?」
「……ばーか」
 どう考えても喜ぶ言葉ではないと思うのだが、駄犬は幸せそうな顔で「えへへ」と笑う。尻尾の振りも大きくなるから手に負えない。
 人付き合いが嫌で研究所を出たはずなのに、なんでコイツと暮らしているんだか。

「ソウイチさん、今何考えているの?」
「あ?」
「尻尾。何か楽しいことあったの?」
「……うるせぇ馬鹿犬!」
「狼ですぅうう」
           








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